創業融資の最終関門が面談です。事業計画書がよく書けていても、面談での受け答えで評価が下がるケースは少なくありません。本稿は、面談対策の実務を整理します。
面談の基本構造
創業融資の面談は、通常1〜1.5時間程度。担当者は事業計画書を事前に読み込んだ上で、質問を準備します。面談の目的は、(1) 事業の理解、(2) 経営者の能力・人物の評価、(3) 数字の根拠の確認、の3点。
面談時間の配分は、事業の説明:質問応答:返済原資 = 概ね 2:5:3 程度が標準的。
面談前の準備
面談前に準備すべきこと:
- 事業計画書の内容を完全に頭に入れる
- 数字の根拠を、計算式付きで説明できる状態にする
- FAQ想定リストの作成(後述のトップ15を準備)
- 持参資料の整理(計画書、見積書、契約書、通帳等)
- 服装(ビジネスフォーマル推奨)
頻出質問トップ15
面談で頻出する質問:
(1) 創業の動機 / (2) 業種経験 / (3) 競合との差別化 / (4) 売上計画の根拠 / (5) 主要顧客は誰か / (6) 自己資金の準備期間 / (7) 親族・友人からの援助 / (8) 創業に至るまでの貯蓄歴 / (9) 借入金の使途内訳 / (10) 返済原資の見通し / (11) 売上が計画を下回った場合 / (12) 共同創業者の役割 / (13) 法人化の理由 / (14) 5年後の事業規模 / (15) 万一の場合の対応
数字の質問への対応
数字に関する質問は、計画書の数字をそのまま答えるのではなく、計算式と根拠を一緒に説明します。
例:「初月の売上100万円の根拠は?」
悪い答え:「同業の平均を参考にしました」
良い答え:「顧客1社あたり月10万円の継続契約を10社獲得する想定です。既に5社と商談中で、3社からは内諾を得ています」
具体的な数字・客数・単価の計算式を、即答できる準備が必要。
困難な質問への対応
面談では、意図的に困難な質問が出される場合があります。これらは「経営者が困難に対してどう対応するか」を見るためのもの。
例:「売上が計画の半分だったらどうしますか?」
「業界が縮小したらどうしますか?」
「主要顧客が離脱したらどうしますか?」
これらに対しては、「想定はしていないが、もし起きたらこう対応する」という具体策を冷静に答える。「絶対大丈夫です」では評価されない。
面談で減点される行動
面談で減点される行動パターン:
- 数字を即答できない(「後で確認します」が頻発)
- 計画書の内容と発言が矛盾する
- 競合分析が薄い・知らない
- 具体策が抽象的(「頑張ります」「努力します」)
- リスクを認めない
- 過度な自信(「絶対成功します」)
- 準備不足が見える(資料の整理不足、服装の乱れ)
面談で加点される姿勢
逆に、面談で加点される姿勢:
- 数字の根拠を具体的に説明できる
- リスクを正面から認識し、対応策を持っている
- 業界・競合の理解が深い
- 謙虚さと自信のバランス(「うまくいかせるために、こう準備している」)
- 担当者の質問に正面から答える
- 計画書と発言の一貫性
通帳の扱い
面談では通帳の提示を求められます。過去6か月〜1年分の通帳が見られ、以下がチェックされます:
- 自己資金の積み上げの履歴
- 収入の安定性(給与・売上)
- クレジットカード支払い、公共料金の遅延有無
- 消費者金融・カードローンの利用
- 不審な大型送金(申込み直前の親族からの送金等)
申込み6か月前からは、通帳の動きを意識して管理することが推奨されます。
面談後のフォロー
面談後、追加の資料提出を求められることがあります。提出スピードと正確性が、最終評価に影響します。
速やかに準備するには、面談で何を求められても対応できる状態にしておく必要があります。商談中の取引先のリスト、見積書、契約書、議事録、業界レポート等を、整理して手元に保管しておくのが実務的です。
※本記事は一般的な情報提供を目的とした解説であり、個別の税務・財務・法務に関するご相談については、専門家にご確認ください。記載内容は2026年5月時点の制度・実務に基づきます。